ご入居の物語
戸田良子 様(77歳/板橋本館)(仮名)
まずは 笑顔から
ほんの5年前まで、元気にご自身でお買い物にも出かけていた戸田様ですが、3年前にご主人を亡くしてからは一人暮らしに。
家にこもるようになってしまい、食もすっかり細くなってしまわれました。ご家族が気づいたときにはすでに歩行困難なほど衰えてしまっていたのです。
やすらぎの園に入居されたのは一昨年の夏。体力の衰えを心配なさったご子息が手を引いていらっしゃいました。
「母を少しでも元気に、少しでもいいから以前の笑顔を取り戻したいのです」と仰いました。会社がお母様の実家から遠く、月に一度ほど様子を見に来るのが精一杯なのだとか。
期待をされると頑張ってしまうのがケアスタッフの心意気です。早速体力回復のためのケアプランの作成がはじまりました。
まずはすっかり気力がしぼんでしまった戸田様を、元気付けることから始めようということに。
といってもスタッフとして特別なことをするわけでなく、ちょっと普通よりも多く話しかけたり、元気な笑顔を向けるように心がけたのです。
人ってやっぱり“気”なんですね。
するとほとんど話しかけに反応していなかった戸田様が、入居から3週間ほど経った朝に「おはようございます」と返事をしてくださったのです。その報告を聞いたスタッフはもちろん一同大喜び。
ますますスタッフの戸田様への話しかけが増えてしまいました。
でも話しかけもバランスを欠いてしまうと贔屓のように見えてしまうので、そこは注意しなければいけないところ…。
うっかりスタッフ二人で戸田様に話しかけていたら、それを見ていた他の入居者様から「戸田さんにばかり話しかけないで、私にも話をしてちょうだい」と言われてしまったのです。しまったと思った瞬間、戸田様の「ほほほほ」と小さな笑い声が聞こえました。そしてそれに連られてその場にいた皆も「ふふふふ」「はははは」と笑ってしまいました。
それからは戸田様もすっかり変わられて、自立歩行もできるように。このまま回復すれば階段も使えるようになるかもしれません。
人ってやっぱり“気”なんですね。



